公的機関が発行した公文書の認証については外務省によるアポスティーユと公印確認がありますが、外国で使用される日本語で作成された私文書の認証にはどのようなものがあるのでしょうか。
外国において行使する文書について公証人が行なう認証には「私署認証」「宣誓認証」「外国文認証」があります。
■私署認証
文書の作成者の署名又は記名押印がある私文書(私署証書)について、その文書になされた署名又は記名押印が文書作成者によって行なわれたことを認証します。公証人の認証を得ることで、文書の署名又は記名押印の真正が証明されることになり、その文書が作成者の意思に基づいて作成されたことが推定されることになります。
・面前認証(目撃認証)
署名者本人が公証人の面前で文書に署名又は押印する
・面前自認(自認認証)
署名者本人が公証人の面前で文書に署名又は押印したことを、自ら承認する
・代理自認(代理認証)
代理人が公証人の面前で、文書の署名又は押印が署名者本人のものであることを、自認する
公証人が行なう認証の効力は、文書の内容が違法、無効等でないかどうかという観点からの審査をするものであり、その文書の成立の真正を証するにとどまります。内容の真実性や正確性を証するものではありません。
■宣誓認証
私署認証において、当事者が公証人の面前で文書の記載が真実であることを宣誓した上、文書に署名及び押印し又は文書の署名及び押印を自認したとき、公証人がその旨を記載して認証する制度です。
文書作成の真正を認証するとともに、制裁の裏づけのある宣誓によって、その記載内容が真実かつ正確であることを作成者が表明した事実も含めて公証するものです。
例えば、民事訴訟においての証言や陳述書等の証拠保全としての利用やDV被害者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律に基づく保護命令を裁判所へ申し立てる際に必要とされる場合があります。
宣誓認証は代理人による嘱託は認められません。また、文書の記載が虚偽であることを知って宣誓した場合は過料が科せられます。
※宣誓認証とアフィダビット
アフィダビット(Affidavit)とは、法定外で公証人その他宣誓を司る者の面前で宣誓した上、
記載内容が事実であることを確約し、署名したものをいい、欧米諸国をはじめ多くの国で使われ
ています。
アフィダビットは必ずしも日本の「宣誓供述書(宣誓認証された私署証書)」とは法律的には同
一の性質を持つ文書ではありません。求められた認証については提出先国機関等の意向を十分確
認する必要があります。
■外国文認証
- 日本の公文書と宣言書
例えば、外国の機関から公証人の認証のある戸籍謄本の提出を求められた場合に、まずは戸籍謄本については外務省によるアポスティーユ又は公印確認の認証を受けます。その後、戸籍謄本を提出先の国の言語に翻訳した文書を、翻訳者が日本語原文と翻訳文の内容に相違が無い旨を記載した宣言書を作成して署名し、原本と訳文とともに公証人の認証を受けます。
外国語で作成された文書の認証を受ける場合、英文は訳文は不要ですが、英語以外の外国文書の場合は訳文が必要となります。また、公証人が作成する認証文には英文の訳文が付きます。